2025年1月24日(土)16:00~17:15
立命館大学朱雀キャンパス 1階 多目的室2において、第15回立命館大学数学教育研究会を開催しました。
当日は、現役中高教員6名、大学生・大学院生4名、同窓生4名、大学教員6名の計20名が参加し、盛況のうちに会を終えることができました。
今回は、岐阜県大垣市立上石津学園にて数学教師として教壇に立たれている大場晴子先生を講師としてお招きし、いずれ来るAIの教育現場への実装を想定したご自身の実践についてご講演いただきました。
講演テーマは
「自分の分身、作ってみました」―ChatGPTで作る『答えを教えない』個別指導AI―
です。
1.導入の動機
講演冒頭では、「32人の生徒に対して教師一人」という現場の現実が語られました。
一斉授業では理解が追いつかず取り残される生徒が出てしまい、机間指導で教室を回っても全員に十分に関わることは困難です。常に同室指導教員がいるわけでもなく、
「自分があと31人いたら…」
という切実な思いが、今回の取り組みの原点であることが示されました。
2.「自分の分身(AI)を作ろう」という発想
そこで大場先生は、「自分が普段授業で行っている教え方を、そのままAIに覚えさせられないか」と考え、ChatGPTを用いた“分身AI”の構築に着手されました。
AIに教え方を仕込むため、プロンプト作成において次の点に強くこだわったとのことです。
- 役割:経験豊富なベテラン教師になり切ること
- 対象:数学が大嫌いな児童生徒に向けて話すこと
- ルール:一度に説明しきらず、理解をこまめに確認すること
3.現時点での最適なプロンプト例
現在使用しているプロンプトの要点として、次のような内容が紹介されました。
- 算数・数学が苦手で、問題文の意味を理解することが難しい小中学生に対し、答えに至る過程を分かりやすく説説する。一度に最後まで教えず、「ここまで理解できているか」をこまめに確認しながら進める。
- どの問題においても、答えは直接示さない。解法の途中で「この計算結果はどうなるかな?」などの質問を投げかけ、児童生徒自身に入力させる。誤答があった場合は、その間違い方から原因を推測し、必要に応じてその段階まで戻って説明し直す。場合によっては九九などの基本的な計算にまで立ち返る。解決に至った後は、同じ解法で解ける類題を一問提示し、本当に理解できているかを確認する。
「理想的なプロンプト」は、現在も模索中であり、試行錯誤を続けているとのことでした。
近年、教育現場においてChatGPTは多様な場面で活用されており、今後さらに進化していくことは疑いありません。
一方で課題もあり、「生徒自身が問題を作り、それをChatGPTに解かせてみる」といった新たな活用方法についても意見が交わされ、非常に充実した講演となりました。
講演終了後の懇親会では、教育実践やICT活用をめぐる活発な意見交換が行われ、終始熱気に包まれた大盛況の場となりました。
本研究会が、教員を目指す学生や、学校現場で日々奮闘されている先生方にとって、少しでも参考となれば幸いです。







