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総会の特別講演 「宇宙を調べる」物理科学科 教授 森 正樹

2014年11月11日(火)

特別講演 「宇宙を調べる」    物理科学科 教授 森 正樹
  我々の肉眼は、太陽の表面温度6000Kの黒体輻射のピーク波長付近に最も高い感度があるように進化してきた。
そのため、19世紀までの天体観測は、可視光と呼ばれる波長400~700nmの光に限られてきたが、現代では電波から赤外線、紫外線、X線、ガンマ線に至るまで、あらゆる波長領域における観測が行われるようになっている。
なるべく多くの光を集めるために様々な工夫がなされてきただけでなく、CCD素子をはじめとする検出器の革新により、より遠く、より詳しく、より細かく、より短時間周期での観測が可能になって、我々の宇宙に対する理解は深まってきた。

黒体輻射による放射は温度で定まるため、長い波長による観測は低温の、短い波長による観測は高温の天体を観測することに対応し、観測対象は多様な天体現象に広がっている。
また、熱的な黒体輻射の波長領域は、ピーク波長付近の一桁程度の比較的狭い範囲にとどまるが、非熱的な放射、すなわち高エネルギーまで加速された粒子による放射はより広い波長範囲にまたがり、また、原子や分子からの放射は特有の波長を持ち、線スペクトルとなる。

こうして、観測する波長により天体の見え方は大きく異なり、その違いは、天体における物理的環境を探るうえで大きなヒントになる。特に、非熱的放射を発する天体の研究では、広い波長域にわたる観測は欠かせない手段になっている。

今回立命館大学BKCキャンパスに設置された60cm望遠鏡は可視光領域の観測を目的とし、冷却CCDカメラを利用して撮像観測を行う。
口径では大望遠鏡に比べ劣るが、占有して観測することが可能であり、その機動性を生かして追及していける天体現象は数多く存在する。

特に時間変動する現象、すなわち、系外惑星のトランジット法による観測、ガンマ線バーストの残光の観測、活動銀河の時間変動の観測などを主な目的として進めていく予定である。

また、一般向けに公開する観望会や、学生サークルである草津天文研究会による観測なども行っていく。         

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